東京オリンピックの正式種目となり注目を集める「ボルダリング」。
最近では専用のジムも増え、競技人口は増加の一途です。
そこで今回は、実際にジムに出かけ、ボルダリングに挑戦!
ルールや楽しさ、安全のための注意点や身体のケア方法などを
「エイペックス クライミングジム 四谷三丁目店」の熊谷さんに教えていただきました。
今回取材をさせていただいた APEXクライミングジムの熊谷さん |
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今日はボルダリングに初挑戦だね!
運動はあまり得意じゃないから、ちょっと不安だわ。
ちゃんとインストラクターの方が教えてくれるから大丈夫だよ!
そうね。せっかくのチャンスだし、楽しませてもらうわ!
ここがボルダリングのジムだよ!
実際に見ると迫力あるなぁ〜
初心者用から上級者用まで、いろんな壁があるんだね。
比較的フラットで初心者向きのコース
傾斜が100度の中級者コース
さらに傾斜角のきつい上級者コース
熊谷先生、よろしくお願いします!
今日は楽しんでくださいね。
先生、ボルダリングは、いつ頃どこで始まった競技なんですか?
ヨーロッパやアメリカなどで行われていた「ロープクライミング(岩登り)」をやっていた人たちが、遊びやトレーニングの一環として、5m程度の岩登りをしていたのが起源とされています。悪天候の時でも室内でトレーニングができるように、自宅のガレージや倉庫などに壁を作って、近所の仲間で楽しんだものがボルダリングジムの原型かと思われます。
日本で初めて競技会が開催されたのが2000年ですから、まだ歴史はさほど長くはないようですね。
なるほど。天候に左右されずに楽しめるって、魅力的だなぁ。
ますます競技人口が増えそうですね!
現在ボルダリングが楽しめる施設は、何店舗ほどあるんですか?
全国におよそ500施設、都内だけでも80施設あります。
海や山にわざわざ出かけなくても、近くのジムでクライミングが楽しめるわけですね。
ところで、「ボルダリング」は何を競うスポーツなんですか?
どれだけ難しい課題(コース)を登れたかを競います。ルールはとてもシンプルですよ。
決められた課題の、指定されているホールド(手がかりになる突起物)からスタートして、ゴールのホールドを両手で保持(安定した状態をキープ)すれば成功です。
公式競技では、“ルートセッター”というコースを作る人によって課題が設定されます。
ぜんぜん知らなかったわ。
ルールを知っておくと、東京オリンピック観戦も、さらに楽しくなりますね。
そうですね。
僕たちのような初心者が始める上で、特に気をつけることはありますか?
壁から降りる際に手をつかない、尻もちをつかないなど、着地の仕方には注意が必要です。
それと、自分の体力に合った課題を選び、頑張りすぎないこと。
無理だと思ったら、潔く降りることも大切です。
安全面さえしっかり気をつけていれば、比較的気軽に楽しめるスポーツですよ。
よかった! 私でも大丈夫ですね(笑)
服装はどんなものがいいですか?
動きやすい服装であれば、ジャージやTシャツ、短パンなどで大丈夫です。
ただ靴だけは、足の裏の感覚を使いますので、靴底の薄い専用シューズを履いてもらいます。
どこのジムにもレンタルシューズが用意されていますので、最初から買う必要はありませんよ。
先生、ぜひお手本を見せてください。
わかりました。
ではオレンジ色の7級を登ってみましょう。
難易度によって、ホールドに目印のカラーテープが貼られているので、それを頼りに登っていきます。
スタート前に、滑り止めのチョークを両手になじませます。
壁にはたくさんの色のホールドがありますが、同じ色の目印がついたホールドを登っていきます。
色でコースの難易度が識別できるようになっているので、無理のないコースから始めましょう。
まず、「S右」「S左」と書かれたオレンジ色のスタートホールドを、しっかりつかんでからスタートします。
オレンジ色の「×印」のついたコースをスイスイと登り、あっという間に完登!
フラットな初心者コースに女性が初挑戦!
初級者用のピンク色のホールドを順番につかんで、ゆっくりと登ります。
焦らず落ち着いてトライすれば、初めての女性でも完登できます。
最初は不安だったけど、初心者用の垂直の壁は、思いのほか登りやすかったわ。
初心者用とはいえ、最上部のホールドをつかんでゴールできると嬉しいわね。
ボルダリングは、かなり腕の筋力を使うと思っていたけれど、やってみると握力と指の力が必要なんだってわかったわ。
1回登っただけで、腕と指の筋肉がパンパンになっている感じよ。
素子さんの新境地だね。
そうね。
自分の体力に合わせて楽しめるのがいいわね。
注目されている理由がわかった気がするわ。
先生、ボルダリングの楽しさは、どんなところにありますか?
一言でいえば、達成感ですね。
難しい課題をクリアしたときの達成感は、ボルダリングならではの醍醐味だと思います。
それと、課題を分析する楽しさですね。
パズルを解く感覚で、けっこうアタマを使うんですよ。
なんだかワクワクするなぁ〜
僕、大会を目指そうかな(笑)
さまざまなジムが主催する大会やイベントもありますので、初級から中級の方でも参加できます。
さらに上級へとレベルを上げて、ぜひ、全国大会を目指してください。
ボルダリングを安全に楽しむための、腕や指のケア方法を教えてください。
一番のケアは、テーピングで皮膚を保護し、皮膚の傷や痛みを予防することです。
中級者以上の方は、マメなどの保護対策や指関節を補強するために、皆さんお使いになられています。
なるほど!それにしても先生の指先、すごく硬いですね。
ボルダリングは握力ではなく、指の先端や指関節を使いますので、毎日やっていると硬くなりますね(笑)
日々の鍛錬で、熊谷さんの指先は力強く肉厚です。
指の保護は、関節のすぐ下あたりの、マメのできやすいところに巻きます。
内側で巻き終わると剥がれやすくなるため、巻き終わりは手の甲側にくるようにします。
また、あまりきつく巻くと、力を入れたときに指が太くなるため、ホールドが握りづらくなります。
引っ張らずに指の形に沿うように巻くのがコツです。
指関節を保護する場合は、保護する関節を挟むように、2カ所に1周テープを巻きます。
(アンカーといい、この後巻くテープを剥がれにくくします)
指を曲げて違和感があるときは、2カ所のアンカーをつなぐように、指の背の部分にまっすぐ貼ります。
保護する関節の上でクロスするように、指先から根元に向かって2本のテープを貼ります。
クロスさせたテープを剥がれにくくするために、
最初に巻いたアンカーの上からさらに1周巻いて完成です。
上から見た完成状態
横から見た完成状態
1. 手首の保護は、手首のやや上から斜めに巻いていきます。
2. 最初のスタート部分はクロスするように手首をぐるりと巻きます。
3. 手首を1周したら一旦カットします。
4. 1周目と同様にテーピングをセットし、同じ軌道で巻きます。
5. 再び手首を1周したらカット。これでしっかりと固定されます。
6. まだ不安な場合はもう1周巻きます。かなりがっしりと固定されます。
さらに、おすすめのケアの仕方としてもう一つ!
氷水で腕を冷却する「アイシング」という方法で血液循環をよくすれば、筋肉疲労の回復を早めることができます。
それと、ストレッチはすべてのスポーツの基本ですので、入念にやってくださいね。
ボルダリングを楽しむには、ボディケアの方法を知っておくことが、とても重要なんですね。
そうですね。
ボルダリングは、年代を問わず自分に合った目標設定ができ、“達成感”と上達していく“満足感”が得られるすばらしいスポーツです。
ライフスタイルの一環として楽しんでいるうちに、自然に体が鍛えられるところも大きな魅力だと思います。
特別な道具は要りませんので、会社の近くや自宅エリアなどの行きやすいジムに気軽に立ち寄って、ぜひ楽しんでみてください!
先生、今日はどうもありがとうございました!